昨日、上野の文化会館で何時もお世話になっているピアニスト、木村徹さんのリサイタルがありました。モーツァルト/幻想曲に始まりブラームス/118の小品、休憩を挟んでシューマン/謝肉祭と言うプログラム。アンコールにシューマン/アラベスクでした。
実は徹先生、昨年11月の二の腕を骨折されていて、まぁ骨はくっついているそうですが筋肉が落ちてしまったので、最後まで弾き切れるかと言う状態だったそうです。個人的には伺っていましたが「もしかしたらキャンセルするかもね」なんて仰っていたので、当日まで大丈夫かいなと思っていました。
いつものようにヒョコヒョコとステージに現れて(笑)いつものように弾き出しました。
しょっぱなから徹ワールド全開です。「う~ん、徹さんだぁ」、もちろん良い意味でですが。
ピアニッシモのコントロールから絶対に叩かないフォルテまで素晴らしいタッチです。すごく音楽的なんですよね。表現は個性的なんですが流れを邪魔しないし、テクニックもしっかりしているので安心して聴いていられます。ブラームスの美しさは格別でした。
後半のカーナバルも構成がしっかりしていて、しかも柔軟性もあってすごく立派なシューマンに仕上がっていたと思います。
タッチが良いって言うのは、それだけですごい武器になりますから。イコール音色が良いと言う事ですからね。
アンコールまで弾かれた位ですから、心配していた怪我も大丈夫だったのでしょう。
終演後、すっごい行列だったのでお話もせずに失礼させて頂きましたが(会釈だけで)、とても気持ち良く混み混みの中央線で帰って来ました。