2014年8月30日土曜日

突っ込みどころ満載!「蝶々夫人」

プッチーニ作曲のオペラ「蝶々夫人」
イタリアオペラだけではなく、あらゆるオペラの中で最も有名な演目の一つですね。

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーンフルハーモニー管弦楽団、ウィーン国立歌劇場合唱団
蝶々さんはミレッラ・フレーニ、ピンカートンはプラシド・ドミンゴ
超豪華メンバーによるマダムバタフライです。
カラヤンの指揮に関しては、賛否両論多々あると思いますが、個人的には事、オペラの演奏は文句なしだと思っています。
何と言ってもカラヤンが振る時はソリストがスゴイ!
カラヤンの人脈からでしょうが、一流どころが目白押しです。
オーケストラも殆んどの場合ベルリンフィルかウィーンフィル。ウィーンフィルは元々シュターツオーパ(国立歌劇場)のオケですから上手いのは当然。ベルリンフィルは本来コンサートオーケストラですが、本当に上手いオケは何をやっても上手いって事で、オペラも呆れるほど上手い。

このバタフライも演奏はめちゃ良いです。ドミンゴのピンカートンがいやらしいプレイボーイを憎々しく演じてます。
演奏に関しては突っ込みどころは無いんですが、問題は見た目!
結局は演出の問題なんですが(演出家の名前は伏せますが・・)、これ1974年の演奏なんです。
今から40年前。
現在と違って、当時はまだまだ日本文化はヨーロッパで一般には知られていなかった時代。
作曲は1900年頃、19世紀後半の長崎を舞台にした、日本人が主役の唯一の作品。
台本、曲共に当時のヨーロッパにおける日本理解度からすると、かなりリアルな作品となっています。但しそれはあくまで作品の完成度であって、演出家が日本を知らなければ、日本人からすればオイオイの突っ込みどころ満載となってしまいます。
最近になってやっと無くなって来たようですが、以前はどう見ても中国だろって舞台がまかり通っていました。このカラヤンのDVD、セットはそこまで酷くはありませんが、人物がヒドイ!それこそ見た瞬間、爆笑もんです!!

着物は白無垢です。何も柄がありません。いや~、それじゃ死に装束だろって感じです。
それに衿がやたら開いています。完全にドレスの着方!帯の位置も随分と高いし、誰か着付けを教えてやってくれ~!
でも、こんなのは序の口!
何と言っても一番の突っ込みどころはメイクです。
ただでさえ思いっきり外人顔が、日本髪のカツラに可笑しな着付けの死に装束です。そこにダメ押しのメイク!ほとんどホラーです。
顔の部分だけで、アゴのラインから後ろ、首はノーメイク。顔だけ真っ白!!!!頬紅も無し。
真っ白いお面を被ってるようなもんです。
しかも日本人役は男も女も、全員が真っ白。
蝶々さんの嫁入りの場面では、親戚全員が顔だけ真っ白!
これは怖い!!
絶対に芸者さんか舞妓さんと間違えてます。演出家は当時の日本人は男も含め、みんな真っ白だと思っていたのでしょうか??
いや~、日本国民全員が顔だけ真っ白だったら、完全にホラーですよね。そんな国に住みたくないです・・・

他にもピンカートンと蝶々さんの初夜が庭の草むらの上だったり・・・

これでもかよって程、笑かしてくれます!
演奏は本当に素晴らしいんですが・・・集中出来ません(笑)
機会があれば必見ですよ。


2014年8月27日水曜日

都市伝説?ホロヴィッツのピアノ

ウラディミール・ホロヴィッツ。
言わずと知れた歴史に残る大ピアニストです。

二十歳の時には、すでに200曲のレパートリーがあったとか。
気難しくてワガママで、変人に近いような・・・
それも全て許されてしまうような、本物の天才です。
そんなホロヴィッツですから、エピソードには事欠きません。
ピアノに関しても、好みがはっきりしていました。気に入ったピアノしか弾かないのは有名な話。

特に知られているのが、ニューヨークスタインウェイCD75。
ホロヴィッツが最も気に入っていた楽器です。
以前、ホロヴィッツのピアノとして日本中を回って展示されたことがありました。試弾可能だったので、実際に触った事のある方もあるでしょう。
これはCD75ではなくCD503.確かにホロヴィッツが弾いていましたが、CD75はどは気に入っていなかったようです。
余談ですがCD75のCDの意味は、ニューヨークスタインウェイの貸し出しピアノで、Cはコンサート、DはD型、フルコンサートと言う事です。数字はランダムに付けられているので、年数や順番には関係ありません。CB75であれば貸し出し用のB型75番です。

CD75、製造番号156975、1912年製です。
う~ん、良い時代ですねー!
この楽器、とにかく鳴ります!信じられない程鳴ります。
あんなピアノは聴いた事がありません。現在の鳴らないピアノ、たとえスタインウェイでもです。それしか聴いた事のない人には、衝撃でしょう。ピアノと言う楽器の認識が変わってしまうかもしれない程です。



ホロヴィッツ二回目の来日、1986年の事です。
1983年の初来日時、ボロボロの演奏で某有名評論家に「ヒビの入った骨董品」と酷評された後、復活して素晴らしい演奏をした時です。初来日時の話は色々ありますが、今回は省きます。あしからず。
で、この時に宿泊していたキャピタル東急にそのピアノはありました。
何故他人のピアノを弾く事のないホロヴィッツが、そのピアノを弾いたのかはこれまた省きますが、ホロヴィッツはこのピアノを大層気に入って、2時間も弾いていたそうです。
1887年製のニューヨークスタインウェイ、ローズウッド塗装です。
この頃は今のスタインウェイと若干構造が違います。弦の張り方、フレームの形など。
このピアノを間近で見る機会がありました。持ち主のTさんとお話しさせて頂き、色々と参考になりました。Tさんは同じ調律師の先輩です。

このスタインウェイは、あのカーネギーホールに実際に置いてあったピアノです。ラフマニノフやパデレフスキー等、往年の大ピアニスト達が弾いてきた楽器です。
アメリカでオーバーホールして最終調整はフランツ・モアさんが担当しました。フランツ・モアさんはニューヨークスタインウェイのトップ調律師だった人です。ルービンシュタインなども担当していましたが、ホロヴィッツの専属調律師として有名です。ホロヴィッツに「フランツ無しではコンサートはやらない」とまで言わしめた調律師です。
Tさんはフランツさんとお友達だそうで、この1887年のスタインウェイに「ホロヴィッツと同じタッチを作ってくれ」とお願いしたそうです。
音程や音色と同じように、タッチも時間の経過や使用で変化はしますが、Tさんはフランツさんの作ったタッチを忠実になぞっているそうです。つまりこの楽器のタッチはホロヴィッツが弾いていたピアノと同じ状態を保っていると言う事になります。

ホロヴィッツのタッチの調整にも色々と言われている事があります。
ハンマーストローク(ハンマー、弦を叩く丸いフェルトです。それが鍵盤を押す前の静止状態から弦を叩くまで動く距離の事)が通常の半分しかないとか。
実際はごく普通の寸法でした。
専門的には若干特徴的な調整はあるにせよ、特別な事はありません。
但し、本当に上手いピアニストでないと弾けないかもしれません。今の単純に弾きやすいタッチとは全く違います。物理的に弾きにくいのは論外ですが、本当に弾きやすいタッチを理解していないピアニストには、相当弾きづらいタッチです。
意味が分かりづらいかもしれませんが、ここでそれを説明するのは難しいので、またまたあしからずです。

ホロヴィッツのタッチ。都市伝説になっているんですね~。




2014年8月26日火曜日

ニューヨーク行きまらず!

お久しぶりです!
とりあえず、元気に生きています。

いきなり偉そうですが、私にはただ一人の弟子がいます。
こ奴がこれまた偉そうに、ニューヨークに留学しておりました。
その小僧が先日、完全帰国しまして。
ヤツが帰国する前に、視察と称してちょっくらNYへ行って来ようと思っていたのですが、訳あってお流れになってしまいました。

実はオイラ、アメリカ大陸に上陸した経験がありません。
若かりし頃、まぁ今でも若いんですが、グァムには行った事があります。
ヨーロッパには何度も行っているのですが、アメリカには縁が無かったのですね。
でも考えてみたら、NYにはメトロポリタンがあるじゃないですか!!
カーネギーホールで演奏会。
オペラハウス。
それに、何と言ってもSTEINWAY&SONSの本社があるんですよ!
これは逆に行かない理由が見つからない。
ライヴハウスでバーボン片手に本場のジャズも良いですよね。
Tボーンステーキも食べたいし・・・

そして、あわよくばNY-STEINWAYを仕入れて来ようかと!
小僧からは勿論、他にも留学していた知り合いから情報を仕入れて、すっかりその気になっていました。

オイラのクレジットカードはANAのカードです。
フライトだけではなく、普段の買い物なんかの支払いもほとんどカードを使っています。
その甲斐あってマイレージが結構溜まっています。
春は仕事が詰まっていて無理だったので、6月に予定していました。NYまでの料金を調べたら、
エコノミー=13万円
ビジネス=43万から
そしてファーストは何と210万から!!!
なんでファーストになるといきなり桁が違うんじゃ!!
こんな金額じゃ、自腹で乗る事は絶対にない。だったらここはファーストクラスで行こうじゃありませんか。まぁ、当然そうなりますよね?
マイレージは世界1周出来る位は楽勝で溜まっているので、充分ファーストに乗れます。
水道光熱費までカード払いにして、せっせと溜めたお陰です。
ところが・・・
4月だってのに、6月の予約はすべて一杯!
ファーストどころかビジネスやエコノミーまで一杯。
直接ANAに電話してお願いしてみました。
直行便はやはり一杯です。
マイレージクラブのお姉さんが、親切に調べてくれました。
行きはANAでシカゴまで飛んで、ユナイテッドでJFKではなく、NY郊外のニューアーク行き。
帰りは同じくニューアークからユナイテッドでバンクーバー。そこからエアーカナダで成田。しかもトランジットが3時間弱。ユナイテッドはしょっちゅう送れるって聞くし、エアーカナダは評判が芳しくない。しかも距離がかさむので、ビジネスでも直行のファーストと同じマイレージが必要って・・

マイレージで取れる席数がそんなに多くないって事なんでしょうね。
自腹で行こうかとも考えましたが、まさか二泊三日と言う訳にもいかず、最低でも一週間は欲しい。
そうすると、その間は当然仕事が出来ないのですから、イコール収入はゼロ。そこまでしてもって事で、今回は残念ですが諦めることに・・・
代わりと言っちゃ何ですが、来週北海道に行って来ます。これはしっかりマイレージで取れました。
たった二泊ですが、美味しい物食べて楽しんで来まーす!