2010年10月26日火曜日

ニコラウス・アーノンクール

24日の日曜日、冷たい雨の降りしきる中、NHKホールへ行って来ました。
NHK音楽祭2010、ニコラウス・アーノンクール指揮ウィーンコンツェルトムジクスのバッハ/ミサ曲ロ短調の演奏会です。

アーノンクールは大好きな指揮者です。初めて聴いたのはバッハのブランデンブルク協奏曲。それはそれはスゴイ緊張感で息をするのも憚れる程でした。音色は非常に柔らかいのですが、内容が相当厳しい演奏でした。ブランデンブルクは好きな曲なので10枚以上持っているのですが、そのどれとも全然似ていない。コレギゥムアウレウムやパイヤールなんかとはある意味対極に位置する演奏でしょうか。それ以来アーノンクールファンになってしまいました。

そのアーノンクールも御歳80歳。これが最後の来日ではないかとも言われています。
しかも手兵のコンツェルトムジクスとの来日、更に曲目がバッハのH-mollと来りゃぁ、絶対に聴き逃せないっちゅうもんです。
ってな訳で、一人いそいそと雨の中出掛けて行ったと・・・誰も一緒に行ってくれないから・・・・

久しぶりのNHKホールです。席は3階の後ろの方。舞台が遠い!
しかし、HNKホールは改装してからはちゃんと音が飛んで来るようになりましたから、普通に聴く分には大きな問題はありません。(ケッ!どうせ良い席は取れなかったよ!フン!!)
演奏は期待を裏切らない名演でした。
昔のような緊張感はそれほどではありませんが、とにかく柔らかい!!ffがありません。
弾力のあるリズム、自然なテンポに自然な流れ。演奏に全く無理がありません。コーラスもソリストも声を張り上げる事はいっさいありません。伝統的なウィーン奏法。しかも深い表現。
何とも心地良い・・・・現在、日本で聴ける最高峰の音楽を聴いているんだなぁと言う実感です。

演奏とは直接関係ないけど、一つ思った事・・
アーノンクールはウィーンシンフォニーのチェロ奏者だったんですが、他にもオケの奏者から指揮者に転向した人は沢山います。
歴史に残る大指揮者になった人もいます。アーノンクールもその一人でしょう。
それだけの知識や能力があったのはもちろんですが、同じような力を持っているにも関わらず、指揮者になろうとしないで、一生オケマンでいる人達も少なからずいると思うんですよ。
セカンドヴァイオリン一筋40年とか、今はいなくなってしまったでしょうが、以前だったらフルトヴェングラーやワルター、トスカニーニなんかの指揮で実際に演奏してた人達がオケのメンバーにいた訳です。仕事でお伺いしてる元N響の先生なんかは、カラヤン初来日の時やストラヴィンスキーがN響を振った時に実際に演奏してた訳ですから、お話を伺ってても、そりゃぁ重みがあるんですよね。
で、何が言いたいかというと、そんな人達に向かって色々指示を出したりして、自分の解釈を伝えてそれを演奏させるんですから、指揮者って大変と言うより怖い仕事だなぁと改めて思いましたと言うことで、大した事ないオチですんません・・・・・チ~ン