最近手に入れたレコード、ポリーニのショパン。
1968年の録音です。ポリーニ26歳。1960年、18歳でショパンコンクールに優勝した時、審査委員長だったルービンシュタインが他の審査員に向かって「この中に彼より上手く弾ける人がいまか?」と言ったというエピソードは有名です。
普通であれば、そのまま演奏活動を続けるのですが、コンクール直後にコンクールの本選で演奏した1番のコンチェルトを同じ指揮者とオーケストラでレコーディングした後、「私には他にも勉強する事が沢山ある」と言って、一切の演奏活動を止めてしまいました。10年間の沈黙の後、再デビューしてからの活躍は御存知の通りなので、今更言うまでもありません。
で、このレコードですが、年代的に一時引退していた時の演奏と言う事になります。演奏会はしていなかった(公には)のに、レコーディングはあったんですね。
プログラムはオールショパン。
ポロネーズ5番
ノクターンOp.27-1、2
バラード1番
ノクターンOP.15-1、2
ポロネーズ6番「英雄」
素晴らしい演奏です。今のポリーニは個人的には好きではありませんが、再デビューした頃のショパンのエチュードは最高のエチュードだと思っています。ストラヴィンスキーのペトルーシュカなど若い頃のポリーニは名演に事欠きません。
このアルバムは更に生気に溢れていて、聴いているだけでワクワクして来ます。確かに荒削りな感もありますが、有無を言わせぬ音楽の推進力。
何故この時期にもっとレコーディングしてくれなかったんだろうって、今更ながら思います。
アルゲリッチのショパコン後に録音したショパンのソナタが、何故かお蔵入りになって何年か前に再販されましたが、それなんかも後にレコーディングした演奏より全然良いですから。
ポリーニ本人には思う所があったんでしょうが、ホントにもったいないですよね。