2011年2月1日火曜日

ベームの田園

誰にもお気に入りの曲、演奏者、演奏があると思います。
特にこの曲に関しては○○の演奏が最高!な~んて入れ込みの激しい人も多いんじゃないかな?
それは全然悪い事ではないし、ある意味幸せ(不幸せ?)な事ですよね。
自分にとって最高の演奏を見つけられた幸せ。でも人によっては他の演奏を受け付けなくなってしまう人もいるようです。う~ん、それはちょっと不幸せな気もしますけどね。

個人的にはカラヤンは好きではありませんでした。どうもあざとさが耳に付くんですよね・・(カラヤンファンの方、ゴメン)。勿論素晴らしい演奏も沢山あります。若い頃(ベルリンフィルを振る以前)なんか好きですけどね。
でも今はカラヤンの演奏、嫌いではありません。正確に言うとカラヤンの振ったオケが好きなんです。カラヤンってある時期から殆んどベルリンフィルとウィーンフィルしか振らなくなりました。世界最高のオケしか振らないって事です。最高のオケって事に関しては異論もありますが、とりあえずその件に関しては目をつむりましょう。
カラヤンって指揮のテクニック、オケを統率する能力は抜群なんですね。そのカラヤンが世界中から上手い奏者を集めたベルリンフィル(管楽器なんか殆んどソリストの集まりみたいなもんですから)を振るんですから、そりゃぁ舌を巻く程上手い訳です。それを聴くんですよ!
カラヤンじゃなくてベルリンフィルの極上の演奏を聴く。オケ好きにはある意味至福の一時ですなこりゃ。そんな聴き方が出来るようになってから、カラヤンも満更でもないなと思うようになって来ました。
以前より許容範囲がかなり広がった気がします。

好きな曲にベートーヴェンのシンフォニーがあります。
9曲全部好きなんですが、特に好きな1曲に6番があります。田園のタイトルでよく知られていますね。今数えたら33枚ありました。ちなみに9曲の全集は13種類。ひぇ!
その中で最もお気に入りの1枚がカール・ベーム指揮ウィーンフィルハーモニーの演奏です。
1971年、ムジークフェラインザールでの録音。ベーム77歳です。
この演奏、特に第5楽章が抜群です。入りのホルンからしてチキン肌。ヴァイオリンがソットヴォイチェ(ささやくように)で歌い出すと、もう息も止まる程に美しい!
あれはウィーンフィルの弦じゃなきゃ出来ない表現だと思います。
フルトヴェングラー、イッセルシュテット、バーンスタイン、ワルター・・・他にもウィーンフィルを振った田園はありますが、そのどれとも違います。あのソットヴォイチェはベームだけなんです。その後の繰り返しでピチカートが入る部分なんか、何回聴いても極楽ですもんね。

本当のお気に入りって見つかると、すごく楽しみが増えると思います。その曲の自分なりの基準も出来ますしね。但し、その演奏に囚われ過ぎない、他の演奏を認められなくなってしまうと逆に楽しみも減ってしまう気もします。
柔軟に、信念を持ってこれは良いって言えるのが一番なんでしょうね。